血液内科医の論文と日常

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続報リンクあり.【CASTOR trial】再発/難治性 多発性骨髄腫(R/R MM)に対してダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン vs ボルテゾミブ+デキサメタゾン【DBd vs Bd】

 
 

論文

Title(英語):
Daratumumab, Bortezomib,and Dexamethasone for Multiple Myeloma
Title(日本語):

多発性骨髄腫に対するダラツムマブ,ボルテゾミブ,デキサメタゾン

PubMed link:

www.ncbi.nlm.nih.gov

続報

 論文読む上での基礎情報(CASTOR のupdate)
(JCO 染色体 high risk群に関する検討) 

https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2019.37.15_suppl.8040

 

 

 Clinical question

POLLUX trialも読み直したので,CASTOR trialも読み直してみた.
 

この論文のKey point

R/R MMに対してDVd vs Vd(ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン vs ボルテゾミブ+デキサメタゾン
 
23.9%は過去に3レジメン以上投与.
61.2%は自家末梢血幹細胞移植後の患者が対象
 
12ヶ月でのPFS率(DVd vs Vd)
60.7 % vs 26.9%
 
観察期間7.4ヶ月でのPFS(無増悪生存期間)(DVd vs Vd)
NR vs 7.2M(到達せず vs 7.2ヶ月)
 
全奏功率(DVd vs Vd)
82.9% vs 63.2%
 
DVd群ははやく使うほどいい.
 
DVd群で多かった有害事象(Grade3-4)
血小板減少と好中球減少
 
 

 Abstract

 背景

CD38 を標的とするヒト IgGκ モノクローナル抗体でありるダラツムマブ(daratumumab)は,直接的・間接的な抗骨髄腫活性を誘発する.単剤では多種類の前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対して高い有効性を示し,ボルテゾミブとの併用では,新規に多発性骨髄腫と診断された患者に対して高い有効性を示す.

 方法

第 3 相試験で,再発性多発性骨髄腫または再発・難治性多発性骨髄腫の患者 498 例を,ボルテゾミブ(1.3 mg/m2 体表面積)+デキサメタゾン(20 mg)のみを投与する群(対照群)と,この 2 剤にダラツムマブ(16 mg/kg 体重)を併用する群(ダラツムマブ群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とした.

結果

事前に規定した中間解析の結果,無増悪生存率はダラツムマブ群のほうが対照群よりも有意に高く,12 ヵ月無増悪生存率はダラツムマブ群で 60.7%であったのに対し,対照群では 26.9%であった.追跡期間中央値 7.4 ヵ月の時点における無増悪生存期間中央値は,ダラツムマブ群では未到達であったのに対し,対照群では 7.2 ヵ月であった(ダラツムマブ群の対照群に対する増悪または死亡のハザード比 0.39,95%信頼区間 0.28~0.53,P<0.001).全奏効率はダラツムマブ群のほうが対照群よりも高く(82.9% 対 63.2%,P<0.001),良好な部分奏効(VGPR)以上が認められた患者の割合も(59.2% 対 29.1%,P<0.001),完全奏効(CR)以上が認められた患者の割合も(19.2% 対 9.0%,P=0.001)同様であった.ダラツムマブ群と対照群でとくに頻度の高かったグレード 3 または 4 の有害事象は,血小板減少(それぞれ 45.3%,32.9%),貧血(14.4%,16.0%),好中球減少(12.8%,4.2%)の 3 つであった.ダラツムマブ投与例では注入に伴う反応が 45.3%に認められたが,その多くはグレード 1 または 2 であり(グレード 3 は患者の 8.6%),98.2%は初回注入時に発生した.

まとめ

再発性多発性骨髄腫または再発・難治性多発性骨髄腫の患者に対して,ボルテゾミブ+デキサメタゾンにダラツムマブを併用投与した結果,ボルテゾミブ+デキサメタゾンのみを投与した場合と比較して,無増悪生存期間が有意に延長し,注入に伴う反応が発生し,血小板減少と好中球減少の発生率が高かった.

 Table and Figure 

Table1(患者背景)

23.9%は過去に3レジメン以上投与.
61.2%は自家末梢血幹細胞移植後の患者が対象
 
染色体予後不良群についての解析は論文中では触れられず.
JCO2019に追記あり
染色体high risk群でも有意差をもってDVd群で有効である. 
 

Figure1A(PFS)

 
12 ヵ月無増悪生存率はダラツムマブ群で 60.7%であったのに対し,対照群では 26.9%
 
 
 

Figure1B(Time to Disease progression)

 

Table2(奏効率など)

 
全奏功率(DVd vs Vd)
82.9% vs 63.2%
 
VGPR以上(DVd vs Vd)
59.2% vs 29.1%
 
CR (DVd vs Vd)
19.2% vs 9.0%
 

Figure2(サブグループ解析)

 
ISSがステージ1の群でDVdは特によかった.
ISSがステージⅡまたはⅢの群ではVdよりもDVd群の方が優れている.
 
前レジメン数が1コースの場合12ヶ月でのPFS達成率は
77.5% vs 29.4%
 
前レジメン数が2-3だと,Bdに比べて効果は認めるが,PFSの中央値は
9.3ヶ月vs6.5ヶ月.
 
 

Table3(有害事象)

 
DVd群で多かった有害事象(Grade3-4)
血小板減少と好中球減少
 
 

論文の要約

R/R MMに対してDVd vs Vd療法の試験
 
12ヶ月でのPFS率(DVd vs Vd)
60.7 % vs 26.9%
 
ISS Stage 1の群ほど効果がある
また,前治療数が少ないほど効果がある.
 
有害事象としては血小板減少と好中球減少には注意しよう.