血液内科医の論文と日常

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免疫チェックポイント阻害薬投与後の自己免疫性溶血性貧血(AIHA)について

 

 
 

論文

Title(英語):Autoimmune hemolytic anemia associated with the use of immune checkpoint inhibitors for cancer: 68 cases from the Food and Drug Administration database and review
Title(日本語):抗PD-1モノクローナル抗体投与後AIHAを発症したケースをFDAのデータベースからレビューした.
PubMed link:
 

 論文読む上での基礎情報

AIHAについて
 
 

 Clinical question

抗PD-1モノクローナル抗体ニボルマブオプジーボ®️,ペンブロリズマブ:キイトルーダ®️)
を使用した時にITPは時たま経験するが
Evans症候群をはじめ,AIHAが合併してもおかしくないとは思っている.
そのため,AIHA合併症例のレビューを読んでみた.
 

この論文のKey point

抗PD-1モノクローナル抗体ニボルマブオプジーボ®️,ペンブロリズマブ:キイトルーダ®️)投与後のAIHAの頻度は1%以下であると推定される.
劇症型の症例もある.
AIHAの発症頻度は癌の種類とは関係なさそうである.
発症までの中央値は10週間(2-78週間と幅がある.)
 

 

 Abstract

 

 背景

免疫チェックポイント阻害薬は肺がん,メラノーマなどいろいろな癌で使われている.
免疫関連の有害事象がおこっている.
我々はどの程度の頻度でAIHAが発症しているのかを調べた.
 

 方法

FDAのデータベースと文献検索をおこない
二次性AIHAの頻度を調べた.
 

結果

FDAのデータベースには68例引っかかった.
43例はニボルマブオプジーボ®️),13例はペンブロリズマブ(キイトルーダ®️),7例はイピリムマブ,5例はアテゾリズマブであった.
全てのAIHAの重症度はシリアスと記載されていた.
PD-1またはPD-L1とターゲットにした薬剤の方がCTLA-4阻害薬と比べて頻度が高かった.(0.15-0.25%)vs0.06%
症例報告は11例あり,我々は1例経験した.
多くはステロイド反応性であったが,12例は不応性であった.
 

まとめ

AIHAは頻度は高くないが,重篤な合併症であり,早期の対応が望まれる.
 
 

 Table and Figure 

Table1

頻度としては抗PD-1モノクローナル抗体の方がCTLA-4阻害薬と比べて頻度が高い.
 

Table2

様々なガンの種類で発症している.
 

Table3

文献のレビュー(Case report が主であるため,治療成績が良くなるバイアスの可能性あり.
ポイントしては
  • CADも発症していること.
  • 劇症型の症例もある.(筆者の例 12)
  • 発症期間の中央値は10週間(2-78週と幅がある)
 
論文の要約
抗PD-1モノクローナル抗体ニボルマブオプジーボ®️,ペンブロリズマブ:キイトルーダ®️)投与後のAIHAの頻度は1%以下であると推定される.
劇症型の症例もある.
AIHAの発症頻度は癌の種類とは関係なさそうである.
発症期間の中央値は10週間(2-78週と幅がある)